第10回 水彩塗り① 水彩塗りの基本

■塗りの準備 (復習)

○「ベース」レイヤーの作成

* [べた塗り塗りレイヤー]を使用

 

おとなの美術室

 

 

○レイヤー分け

* [べた塗り塗りレイヤー]を使用
* 目など細かいパーツは分けなくてもよい

○配色
■水彩塗りとは

* 不透明水彩塗り
*
* 基本的に一枚のレイヤー上で、既に塗られている色と筆の色を塗り混ぜていく。
* 線画をなくせば厚塗りになる。
* ガッシュや油絵的な塗り方。

* 透明水彩塗り
*
* 乗算の合成モードに設定したレイヤーを使って、色を濃く重ねていく。
* いわゆる乗算塗り。
* カラーインクやマーカーなどの塗り方。

■CLIP STUDIO PAINTの水彩筆とは

○特徴

* [ブラシサイズ][硬さ][ブラシ濃度]などの基本プロパティに[下地混色]が加わる
* 描画色と下地色(レイヤーにすでに塗られている色)を伸ばしながら塗り混ぜていく
* 筆圧でブラシサイズ・濃度・混色・色伸びをコントロールするので複雑

○[下地混色]のプロパティ

* 絵の具量
*
* [描画色]の色味(RGB成分)と下地色の色味を混ぜ合わせる割合を表す。
* 低いと下地色の影響を受ける。高いと描画色で塗り潰す。
* 既に色が塗られているレイヤーに対して使うと効果が分かりやすい。
* 主に不透明水彩塗りで、同一レイヤー上で色を塗り混ぜる場合に重要

* 絵の具濃度
*
* [描画色]の[不透明度]と下地色の[不透明度]を混ぜ合わせる割合を表す。
* 低いとレイヤーの不透明度の影響を受ける。高いと描画色の不透明度の影響が大きくなる。
* 透明なレイヤーに対して使うと効果が分かりやすい。
* 主に透明水彩塗りで、別レイヤーで色を塗り重ねる場合に重要

* 色伸び
*
* 下地色を引きずる度合いを表す
* 低いとすぐに周囲の色に溶け込む。高いと長く色を引きずる
* 下地色を混ぜ合わる時に重要
○主なサブツール

* 不透明水彩
*
* 同一レイヤー上で色を塗り混ぜる時に使う。
* [絵の具量]が高めで[筆圧]に影響される。
* [絵の具濃度]は低めで一定。→ 透明なレイヤーに塗るには向いていない。
* 描画色を乗せる時は強い筆圧で、馴染ませる時は弱い筆圧で塗るのがコツ

* 透明水彩
*
* [乗算]の別レイヤーで上から塗り重ねる時に使う。
* [絵の具量]は低めで一定。 → 下地色が塗られているレイヤーに塗るには向いていない
* [絵の具濃度]が高めで[筆圧]に影響される。 → 透明なレイヤーに色を乗せるのに向いている

* 濃い水彩
*
* 下塗りなどで、べったりと濃いめの色を塗る時に使う。
* [絵の具量]・[絵の具濃度]ともに高めで、[筆圧]の影響を受ける
* ほとんど[色延び]はしないので、色混ぜには向いていない

* 塗り&なじませ
*
* タッチを残さずに滑らかなグラデーションにしたい場合に使う。
* [硬さ]が低く、ぼけ足のあるブラシ形状になっている。

 

■水彩による塗り混ぜの基本

①下地色を塗る
* [ペン]や[濃い水彩]などで濃くくっきりと塗る

②塗り混ぜる色を塗る
* [濃い水彩]または[不透明水彩]で濃くくっきりと塗る。
* [不透明水彩]を使う場合には、筆圧は強めに

③色の境界部分を塗る (縦のストローク)
* どちらか片方の色を[スポイト]で拾う
* [不透明水彩]で色の境界部分をなぞると、二つの色の中間色で塗ることができる
* 中くらいの筆圧で描くのがコツ。
* さらに中間色を拾って、境界部分を同様に塗っていく

④色を伸ばす (横のストローク)

* 軽い筆圧で伸ばしたい方向にストロークする
○ポイント

* 縦のストロークと横のストロークを織り交ぜながら塗るのがコツ
* ただし仕上げ段階ではどちらかに統一した方がきれいになりやすい
* 多少タッチが残るくらいは、水彩塗りの場合味になってよい
* 滑らかなグラデーションにしたい場合は[硬さ]を低く設定する

■水彩による陰影表現の基本

* 基本的には[不透明水彩]を使って、同一レイヤーで塗り潰し・塗り混ぜていく
* 必要に応じて[透明水彩]を使って、別レイヤーで重ね塗りする

①陰

* 主光源が直接照らしていない部分を塗る
* 1カゲの色
* [濃い水彩]または[不透明水彩]でべったりと塗る

②陽

* 主光源が直接照らしている部分を塗る
* 1カゲの色
* [不透明水彩]を使って、暗い部分から明るい部分に色を塗り伸ばしていく感覚で塗る

③落ち影

* 主光源がモノに遮られて暗くなる部分を塗る
* 1カゲまたは2カゲの色
* モノに近い部分は、[濃い水彩]でくっきりめに塗る
* モノから遠い部分は、[不透明水彩]で伸ばしながら塗る

④照り返し

* 主光源からの光が当たっていない陰の部分や輪郭を明るく起こす
* 基本色または環境色
* 陰の部分は[不透明水彩]を使って、光源と反対方向から明るくなるように柔らかく塗る
* 輪郭の部分は[濃い水彩]でくっきりと明るく塗る

⑤環境遮蔽

* モノとモノとの隙間の光が入り込みにくい部分
* 2カゲの色
* [不透明水彩]で暗い部分は強く、やや明るい部分は弱い筆圧で塗る

⑥陰陽境界・稜線

* 必要に応じて光の当たっている部分と当たっていない部分の境界付近を塗る
* 2カゲの色
* [不透明水彩]で塗る。
* すでに塗った部分を失いたくない場合は、[透明水彩]を使って[乗算]レイヤーに塗ってもよい

⑦明るい部分

* 主光源に直接向いており、基本色よりも明るい部分を描く
* 基本色よりも明るめの色
* [不透明水彩]で塗る。
* 基本色の部分を塗り潰してしまわないように注意

⑧色味

* 陰影とは関係のない、モノの色味を付け加える
* レイヤー合成を[乗算]に設定したレイヤーを作成
* [乗算]で合成した色は暗くなりやすいので、明るめの色を選ぶ
* [透明水彩]で軽い筆圧で塗る

⑨ハイライト

* 出っ張っている部分に描く
* [濃い水彩]でくっきりめに塗る